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YoshiakiNakano


第3回 中野好明さん

■プロフィール

 1944年東京生まれ
 ロサンゼルス日本語放送局アナウンサー出身、ゴルフジャーナリスト
 現在、テレビ朝日ゴルフレポーター、CS放送「めざせシングルプレーヤー」司会など。

 東京オリンピックの年、1964年にプロテストに合格した青木功は今年で出場試合数が1000回に達するというから驚きだ。
 一口に1000試合といっても、そこに到達するには1年間に30試合出場したとしても30年以上の年月が必要だ。
 それにその年月に耐えるだけの強靭な体と、自分を律する忍耐力も必要だ。
 だから青木は自分の戦歴ハワイアンオープン優勝などを含む71回の優勝回数よりも、青木本人はこの無事1000試合出場達成を心の中では誇りにしているに違いないと私は思っている。

 58歳にして今もなお青木は現役のツアープロだ。
 なぜ青木はそんなに選手生命が長いのだろう。

 無論、日頃の鍛錬が必要ということは云うまでもないが、それ以上に持って生まれた肩肘張らない普段の生き方もその一因となっていると私には思える。
 トーナメント会場を離れた青木は、自分が世界の青木であるということをおくびにも出さない平凡な男に戻ってしまう。
 家にいれば、ゴミの収集日には家の中のゴミを外に出すことも苦にしないだろうし、サンダル履きで近くのコンビにで買物ぐらいは当たり前だ。

 そんな青木から自慢話を聞いたことがある。

「この前、感激しちゃったよ」
「何ですか?」
「仕事で家から出掛けたんだけど、あまりにも腹がへったんで、町によくある牛丼屋に寄ったんだよ」
「それで」
「牛丼って頼んだらそこの店員さんが『青木さんですか』って聞くんで『そうだよ』って言ったらサインをくれって云うの」
「ハイ」
「差し出した紙にサインをしたら、店員が嬉しそうな顔してね。お礼にって、牛丼しか頼んでなかったのに味噌汁をサービスしてくれたんだよ。オレって大したもんだろ」

 胃に穴の空くほどの緊張感のある勝負の世界にいる男が試合を離れると、普段はこれ程までに素朴な自分になれる。
 青木の話を聞きながら、私は青木の強さをここに見たような想いだった。

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